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山行日 | 平成17年7月19日(火)・20日(水) | 留意点(気づいたこと) ・行動時間が長いので水、非常食、などの用意が必要 特に、クリヤ谷を登る場合はビバークを想定した方がよい。 ・笠ヶ岳山頂一帯はガレ場の連続、浮き石に注意 ・山荘直前で雪渓のトラバース箇所あり、特に問題なし ・テント場に水場あり、但し、急斜面のため夜間は危険 ・クリヤ谷の状況は槍見温泉か笠ヶ岳山荘に要確認 ・夏の高山植物の見頃はこれからか? ・笠ヶ岳から携帯電話の電波良好 |
天 候 | 19日:曇り時々晴れ(視界良好) 20日:晴れ | |
人 数 | 二人 | |
行 程 | 19日:新穂高→笠新道→笠ヶ岳 20日:笠ヶ岳→クリヤ谷→槍温泉 |
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アクセス | 東海北陸道高山西ICより高山経由で新穂高温泉へ 新穂高温泉手前の無料駐車場(深山荘隣り)に駐車 槍見温泉に下山後は槍見温泉バス亭から濃飛バスに乗車 |
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クリヤ谷を攻めるはずが・・・ | |||||||||||
予定より2時間遅れて新穂高に着き、こりゃいかん、と下山に使う予定だった笠新道を登ることになった。しかし、これも結構大変。
ジグザグの登山道を快調に登っていく。対面の中崎尾根がどんどん目線と同じ高さになっていくので励みになる。適当な休憩場所はないので、1時間毎に登山道の岩に腰掛けて短い休憩をとる。途中、”杓子平まであと半分”という看板が設置され、このあたりから、槍・穂高の展望が開けてくる。 稜線を流れる雲が、穂高の険しい岩壁にからみつき、浮き出た岩場がさらに迫力を増す。槍ヶ岳の穂先、大キレットの長谷川ピーク、そそり立つジャンダルム、恐ろしくて人を寄せつけないその姿、圧倒的な存在感、それでいて言いようのない美しさに私達は心を奪われるのだと思う。 山にずっと近づいた気がして、足取りも少しは軽くなった気がするが・・・。容赦なく続く斜面に辟易しながらも、ニッコウキスゲやコバイケイソウ、ゴゼンタチバナなどの高山植物が目を楽しませてくれる。何の予告もなく着いた杓子平からは、笠ヶ岳のカールが広がり、これまでとは全く違う景色で新鮮だ。あいにくのガスで笠ヶ岳を望むことはできないが、稜線に向って伸びている登山道は確認できる。今年は雪が多いと聞いていたが、雪解けが早かったのか、以前笠ヶ岳に来たときよりも、残雪は少ない気がした。 |
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杓子平まであと一息 | 西鎌尾根と槍ヶ岳 | よくも縦走したものだ・・・と思いにふける大キレット |
ガスの切れ間から笠ヶ岳を望む | ||
杓子平からは快適な登山道がしばらく続く。もっとお花畑が広がっているかと思ったが、これからがピークなのかな? 地図上では正面のゴルジュ帯の左側にルートがあるように思うのだが、実際は右側を雪渓に向かって道が伸びている。雪渓を左に巻いて、ガレ場をひと登りすると、ようやく稜線に出る。西側から冷たい風が容赦なくふきつけ、稜線に立ったことを実感。すこし西側へ下ると、抜戸岳からの登山道と合流した。 ここからは天上の散歩道といった感じで、とても快適に歩くことができるが、ガスと風と疲れ(?)でそうもいかない。ハクサンイチゲやチングルマ、アオノツガザクラ、イワカガミ、キンポウゲなど、高山植物の代表格が顔をそろえる。 |
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やっと杓子平 ここまでこれば・・・ | 抜戸岩 岩の間をとおる |
吹きつける風の音が、人の声に聞こえたりするのが不気味だ。遭難などしなくても、幻聴など簡単に聞こえるだろうな、と思う。いくつかのピークを超えると、前方にびっくりするほど大きな”山の塊”が浮かび上がってきた。西日があたり逆光で黒々と見える、なめらかなビロードのような稜線、目の前に大きな動物が突然立ち上がったような感じだった。 尾根上に一張のテントが見えた。ビバークか ?! 通りすがりに声をかけると外国人の男性が顔を出した。ハイマツ帯の尾根にポツンと立てられたオレンジのテントは、CMやポスターに使われそうな光景で、ちょっとうらやましくなるような素敵な場所だった。 ようやく辿りついたテント場は、意外にも先客はなく笠ヶ岳の元、ひっそりと静まり返っていた。気温は10℃くらいか、疲労と空腹でテントを建てる手がかじかむ。テントの中にもぐりこむと、何ともいえぬ充実感が押し寄せてくる。一緒に登ったもの同士が、気持を共感できる一時でもある。 今晩のおかずは、手巻き寿司。アルファ米に”すしのこ”を混ぜて酢飯を作り、持ってきた納豆、カニカマ、練り梅、秋刀魚の缶詰などを好きなようにのりで巻いて食べる。自宅でやったら寂しい献立だけど、山の上ではご馳走だ。なにより水とガスをほとんど使わないのが良いし、何品もおかずがあるようで、満足度が高い。手巻き寿司パーティーで盛り上がり、今日の行程を地図で辿りながら、ウイスキーをキュッと。やがて眠気が襲い、シュラフにもぐりこむ。
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大きな山の塊が目の前に現れる |
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テント場から槍・穂高連峰を望む | |
青く染まる焼岳・乗鞍岳 | |
抜戸岳からの尾根と槍ヶ岳 | 白出コルから滑り台のように落ちる白出沢 |
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恐るべし!クリヤ谷 | ||||
笠ヶ岳山頂から長々と続くクリヤ谷を望む | 山頂から尾根道をバックに | ウサギギク | ||
翌朝も晴天!とはいかないが、朝もやの中に青くそまる山々が美しい。ピリッとくる冷たい空気も山ならではのもの。山荘の方まで登っていくと、遠く立山や剣岳まで見渡すことができる。一歩一歩、歩いていけばあそこまでも行くことが出来るのだな〜と、踏み出すことの大切さを実感する。 朝ごはんはスープとパンをかじって、のんびり支度を始めた。下山といえど、今日の下りは手強そうだ。笠ヶ岳山荘でクリヤ谷の状況を確認し、山頂に向う。 山頂からは新穂高や中尾温泉を見下ろすことができ、クリヤ谷へ続く尾根が延々と伸びている。
東側はスッパリキレ落ちた岩壁となっていて、痩せ尾根を通るときには、少々緊張する。ガレ場を下り、笠ヶ岳を振り返ると、岩の積み重なった山頂は、ずっと高く大きく見えた。尾根西側の巻き道は歩きやすい散歩道のように見えたが、全く期待を裏切られる。細い道に岩がゴロゴロした時間のかかる道であった。時おり、お花の香りや、土・草の香り、なにやら獣臭い香りなど、山を歩いているといろんな香りがしてくる。音や匂いに敏感になるのも、自然の中にいるからなのだろうか。 ほとほと疲れてくると、ようやく雷鳥岩が見えてくる。尾根の西側にそそり立つ大きな岩だ。ここでラーメンと目玉焼きを作ってお昼ご飯。とにかく暑くて喉がかわく。 ここからは、いよいよ尾根を離れて笹の登山道へと入っていく。登山道に笹が覆いかぶさり、足元がよく見えないので慎重に下っていく。だんだん集中力もなくなり、おざなりになってくると、滑ったり躓いたり、枝に頭をぶつけたりとアクシデントが増えてくる。途中、道を見失いそうになる所が一ヶ所。誰かが枝にスーパー袋むすんでくれてたおかげで、あまり時間をロスすることなく見つけることができた。 |
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チングルマとイワカガミ | ||||
アオノツガザクラ |
イワナがいるだろうな〜!? クリヤ谷 |
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ヨウジョウ岳の岩壁 | 年月をかけて食べられてしまったプレート | |
やがて、いつのまにか焼岳がはるか上に見え、ヨウジョウ岳の岩壁が現れると、もうゴールは近いのかな〜と思うのだが...まだ先は長かった。足場が悪く、急峻な道が続く。 クリヤ谷は深い深い谷で、底を流れる沢は美しく、トロや淵を見るたびに思わずイワナの姿を探してしまう。前回の湯の俣に続き、今回も釣竿持参なので、時間があれば糸をたらしたいのだが・・・そんな元気はありません。(下りなのに...) 3回ほど沢を渡る箇所があるが、”今回は”どこも問題なく渡れた。しかし、雨が降ったら、を考えると、絶対渡れそうもない深い谷底の沢である。最後に、穴滝の下部を西側へ渡ると、 |
歩きやすい登山道となり、木立の間から見える道路が、すぐそこに見える。槍見温泉の屋根が見えるとあっけなくアスファルトの道路に出た。いやはや、本当にクリヤ谷は長かった。前日、クリヤ谷を登っていたら、間違いなくビバークしてただろう。下ってくるのもやっとなのに・・・。突然のアスファルト道に慣れず、もう、足がガクガクだよ〜、としゃべっていたら新穂高行きのバスが...。オーイ!!!思わず手を振りながら猛ダッシュ。新穂高まで歩きを覚悟だったので本当に助かった!、あんなダッシュが出来るなんてまだまだ元気じゃん!と大笑い。 新穂高のバス亭からは、笠ヶ岳が私達をのぞくようにそびえている。あんなに高いところへ、登って、下りてきたんだね、といつもながら、人の足ってすごい!と感動する。ポツンと立って山を見上げていると、まるで、大きな笠の中に入っているみたいだった。(報告者:A)) |
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<おまけ> |
前回の湯の俣からチャレンジしている渓流釣り。 ド素人にイワナなど釣れるのか??と自分でも思うのだが、 ガイド本を読み、道具をそろえると、釣る気満々になってくる。 湯の俣では惨敗。 今回もクリヤ谷では釣る余裕がなかったが、 翌日出かけた乗鞍高原の清流にイワナがいるという。 ウロウロと沢沿いを釣り歩いてみたが、姿が見えない。 なんと、自動車がばんばん通る橋の下に隠れていました! 何時間も格闘した(というより粘った)末、 ついにゲットしました!! 20cm弱の小型でしたが、綺麗なイワナ。 釣って10分後には食べちゃってました〜。 フワフワでおいしかったぁ! |