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日 時 | 平成20年7月26日(土) | |
天 候 | 曇 視界良好 室堂 10度 | |
人 数 | 単独 | |
行 程 | 立山=室堂 (アルペンルート) 室堂〜奥大日岳〜大日岳〜大日平〜称名滝 称名滝=立山 (バス) |
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<メモ> ・立山発ケーブルは定員制のため2本待ち ・雷鳥沢より新室堂乗越まで雪渓あり ・アイゼン未使用(下りの場合はあった方がよい) |
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夏休みに入り山のニュースが多くなった。下界は恐ろしいほどの暑さだが、山はどんなに涼しいだろうか。 そんなことを考えていたら、無性に登りたくなった。 東海北陸道が富山まで開通し北陸へのアクセスが良くなったことから、立山から室堂へ入ってみることにした。日帰り登山は高度を稼げる山でないと厳しいのだ。 夜中の3時に出発し、6:20の立山発ケーブル電車に何とか間に合った。しかし、さすがに観光シーズンとあって立山駅にはケーブルを待つ人で列が出来ており、2本先のチケットしか取れない。 傾斜約25度のケーブルカーはトンネルを通らず景観が良いのが特徴だ。 美女平からはバスに乗り換え室堂まで約50分間の道のりである。 途中、称名滝や立山杉などの名所ではバスを停車させての観光サービスもあり、観光客はひとしきり見入っていた。 |
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傾斜の強い立山ケーブル |
室堂に近づくにつれて視界が悪くなり見えるはずの北アルプスの雄姿も想像を膨らませるしかない。 室堂に降り立つと、なんと涼しいことか!!別天地である。 涼しいどころか、しだいに長袖Tシャツ1枚では寒くなり、薄手のフリースとヤッケを羽織る。標高2500mはあなどれない。 j今年は例年よりも雪渓が多いようで、みくりが池から地獄方面への下りも夏道は出ていない。したがって観光客も極端に少なくなり、視界の悪い地獄地帯に一人孤独である。 そこらじゅうで聞こえる噴気の音、白濁した湯溜りや、熱泥が湧き上がる様はまさに地獄模様であり、さらに視界の悪さが相まってオドロオドロしい感じである。 地獄地帯を過ぎると、いくつかの小屋があり、その先に雷鳥沢野営場がある。夏休みの週末とあってカラフルなテント村となっていた。山に来て人が多いとゲンナリするが、私はこうしたテント村が好きだ。 |
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室堂の地獄地帯 硫化水素ガスで目が痛い |
小さなおうちにはそれぞれにロマンやストーリーがあるのかと思うと、何故か暖かい気持ちになる。 時折霧が晴れてまるで放射状に雪渓の筋が見えてくる。この雪渓の先には険しい峰峰が迫りくるのかと思うとドキドキする。やはりアルプスはスケールが大きい。 キャンプ場から川を渡り、いよいよ大日岳方面へ向かう。 新室堂乗越までは急な登りで、嫌なことに雪渓がベッタリ付いている。やはり7月のアルプスは軽アイゼンを携帯したほうが良かったのだ。 慎重に乗越まで登ってしまうと、あとは楽しい尾根歩きである。 チングルマ、ゴゼンタチバナ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲなど、代表的な高山植物がお出迎えだ。 視界の悪さなどなんのその、もう鼻歌がでそうなくらい浮かれた気持ちになる。 小さなアップダウンを繰り返し、痩せ尾根に取り付くと、登山客が固まった小ピークがあり、そこが奥大日岳山頂であった。何とも地味な山頂である・・・。 |
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カラフルなテントが集まる雷鳥沢野営場 |
しばらくすると薄い雲の切れ間から太陽が顔をだし周りの緑がパッと輝く。次第に西側の雲も切れ始め、遥か下方の谷間が開けるた。 すると、この地味な山頂も、急峻で尖ったピークであることを実感する。 左手には溶岩台地の天狗平と、まるで大地が裂けたかのようなV字溝の称名廊下が見えはじめた。 奥大日岳は好天であれば剣岳を始め立山連峰の雄姿が望めるであろう、素晴らしい眺望のピークなのだ。 |
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咲いたばかりのハクサンイチゲ | キヌガサソウ |
↑ 溶岩台地を縫うように通る高原バス ← 奥大日岳山頂 雲が晴れるとその高さを実感する |
ここからは、さらに尾根が細くなり、急なガレ場の上り下りを繰り返す。 ハシゴを通過し、しだいに尾根が広くると、舟窪がところどころに現れ、その一帯がお花畑となっている。可愛いチングルマの絨毯が広がる中、清楚なハクサンイチゲや、色鮮やかなシナノキンバイが咲き乱れている。 足元の登山道の脇には、さりげなくゴゼンタチバナやショウジョウバカマが隠れるように咲いていた。 |
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大日岳までの尾根道 | 大日如来が祀られている山頂 | |
七福園と名付けられた大きな舟窪は、名高い庭園のごとく、巨岩や低木、草木がまるで計算されたかのような配置で見事だった。 七福園を越えて一登りし、鞍部へ下ると大日小屋へ着く。小さくて質素な山小屋である。このあたりは北アルプスといえども登山者が少ないのであろうか? 山小屋でおなじみのピンバッチやバンダナ、絵葉書などは置かれておらず、飲み物やつまみ類のみ販売していた。 |
少し休憩して、大日岳を往復する。尾根の北側に回りこむと、分厚い雪渓が付いおり慎重に足を運ぶ。ほんの15分程度で大日岳山頂についた。 私は歩くのが早く、また、空荷の日帰り登山とはいえ、今回利用した『山と高原地図』はかなり遅い歩行時間が記されているように思う。(特に尾根縦走部分) 大日岳も同様に地味な山頂で、大日如来が祀られていた。 手を合わせて登山の無事を祈り昼食をとった。 視界は悪いが風が無いのが良い。ぼんやりと地図を眺めながら、レーズンパンとコーヒーを味わい、石の窪みに体を預けると、なんだか山と一体になった不思議な感覚になり、気持ちよくうたた寝してしまった。 他の登山者の話し声で目覚めると、さすがに体が冷えており、腰を上げる。 大日平までの南斜面はさすがに雪渓は付いておらず、急な斜面を一気に下り降りる。途中から霧が晴れてきて遠くに大日平山荘が見えてきた。 |
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大日平山荘から不動滝と称名廊下を望む |
木道が現れると廻りは熊笹に変わり、一面緑色の草原地帯となる。足を止めると、小鳥たちが素敵な音楽を奏でている。振り返ると大日岳の稜線もみえ始め、ポツリ一人で佇むと、腕を広げた大日岳の胸の中ににちょこんと居るようだ。 室堂の地獄地帯から一転、ここは本当に天国のようなところだ。もう少しすればニッコウキスゲも咲き始めるだろうか。 大日平山荘屋は、称名廊下のV時溝ギリギリのところに建っていた。小屋の裏手からは、不動滝を望むことができる。少し遠めだが非常に美しい女性的な滝で、また、見事なまでのV字地形が望め、自然の力とは凄まじいと実感する。 ここからの下りはさらに急斜面である。下りはもっと時間を稼げるかと思ったが、とんでもない。一歩一歩慎重に下らなければ、コロコロと転がっていきそうな斜面だ。気温はみるみる上昇してきた。 いいかげん、樹林帯の下りに辟易してくると、突然舗装された遊歩道に出た。登山口に到着である。 ここは称名滝バス亭から滝までの遊歩道の途中でありスロープ状に |
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大日平から大日岳方面を望む |
なっていて、車椅子でも滝直下まで行くことが出来る。 称名滝に向かう人達は皆観光客なので、リュックを背負い登山靴で歩く人は居ない。その気になって勇んで歩くと途端に息が上がった。 人工物というのは、スロープにしかり階段にしかり、子供も老人も健脚者も皆同じように歩くことを強いられる。誰かにとっては最適でも誰かにとってはストレスに感じてしまうものだ。自然歩道などの木組みの階段が意外に疲れるのもそのためだ。 一方、自然の道というのは歩くにくいようだが、歩きなれると実に快適である。どんな歩幅の人でも必ず自分にあった足場があるものだし、急な坂道でも足を左右に出すことによって負担を掛けずに歩くことが出来る。 底の固い登山靴を履いた私には、この微妙な傾斜のスロープは足場の悪い登山道よりもずっと疲れた。 そうはいっても、ベビーカーや車椅子の人でも滝直下まで行けるように舗装したのは良いこと。 近づくにつれて地鳴りするような轟音がするが、直下まで行かないと全容が望めないところが憎い演出となっている。橋の中央まで来ると、想像以上に豪快で美しい滝がようやく現れた。 断崖の赤茶けた岩肌と草付きの緑のコントラストが美しく、大地の裂け目から暴れるように落ちる滝は飛沫で一層白く見える。滝つぼから流れる川の色は灰色がかった緑で、そこには美しい虹がかかっていた。 どうだ!と言わんばかりのこの光景には、誰しもが凄い!と言わざるを得ない圧倒的な存在感があった。 |
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まるで合成したような称名滝と虹の架け橋 |
立山駅までバスで下ると、まるでサウナに入っているような蒸し暑さだった。 ほんの一時であったが、久しぶりの北アルプスに触れ、なんだか懐かしい恋人に会ったようなトキメキを感じ幸せな気分で帰路についた。 (報告者:A) |