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山行日 平成15年7月16日(木)・17日(金) 留意点(気づいたこと)
・登山口より山荘までは水場はありません。
・西穂山荘では水1L/200円、但しテント場利用者は1L/100円
・独標直下、およびその先山頂までは痩せ尾根の岩場が連続
 しています。
・現在、あかんだなPは24時間入場可能です。
・テント場はさほど広くなく、シーズン中は一杯になる可能性が
 あるでしょう。
・中尾根下部の登山道が変わりました。旧登山道の右側の尾
 根を登るようになっています。看板あり。
天候 16日:晴れ→曇り  17日:晴れ 両日とも風なし
人数 二人
行程 上高地〜西穂山荘〜西穂高岳 往復
アクセス 東海北陸道清美ICより高山経由で平湯温泉へ
あかんだなPに駐車し、バスで上高地へ
 尾根を急登して一気に稜線へ
奥穂高岳をバックに建つ帝国ホテル
梅雨時の不安定な季節、3000メートル級のアルプスは、なかば諦めムードだったが、よほど日頃の行いが良いのか、あかんだなPで迎えた朝は青空が広がっていた。いざ、西穂高へ!
まだシーズンオフとあって、上高地に向かう人は少ない。帝国ホテル前でバスを降りると、ひんやりした風が気持ちよい。帝国ホテルの赤い屋根がてらてらと光って周りの緑によく映える。ここでお決まりの写真を一枚。
田代橋と穂高橋を渡ると、ポカンとあけた口のような登山口が正面に現れる。
ストレッチは大事です!

しばらくは、平坦な道を進んでいく。上高地から少し入っただけなのに、もうここは静かな森の別世界。左側に沢の流れが近づいてくると、旧登山道との分岐となる。旧道は水害などの影響で、崩壊が激しく危険が増しているようで、現在は右側の尾根沿いに道がつけられている。
延々と続く木の階段、歩幅を合わせられずペースがつかみにくい。まだ整備中とあって、木の根っ子が土の上を這う様にして伸びているので、注意しながら登っていく。
調子よく高度を上げていくと、尾根は次第に狭くなり、トラバース気味に掛けられた木道を渡ると、中尾根に出る。ここで旧登山道と合流。
もう一踏ん張り登ると、やがてなだらかな斜面となり、気持ちよく歩くことが出来る。沢の跡のような岩場を登ると、残雪が涼しい舟窪地形に出る。いかにも食べられそうな草木やお化けゼンマイなど、植生が異なっていて何とも不思議な雰囲気の場所だ。その舟窪地形を抜けると、とたんに夏の高山植物がお目見えする。足元を飾るお花達は、可憐でとてもかわいい。周りの立ち木もだんだんと低くなり、霞沢岳の眺めが良くなってくると、焼岳との分岐点。山荘まではあとわずかだ。
ミヤマキンポウゲ タカネスミレ サンリンソウ(?) キヌガサソウ
 奥穂までの縦走路に想いを馳せて
丸山から西穂高岳の稜線を振り返る。 わおー!あんな所に行ってきたのか! ピラミッドピークへの登り
西穂山頂へ最後の登り 山頂にて 奥穂までの稜線が隠れて残念 いつかは奥穂へ! 待ってろよ!
霞沢岳の眺めがすばらしい山荘テラスで軽い昼食をとり、荷物を軽くして、さあ、出発。
丸山から独標までは長いザレ場をゆるやかに登っていく。青空は広がっているが、飛騨側から流れてくる雲で稜線は見え隠れしている。ザレ場を登りきり、ピークを超えると、少しいびつな形をした独標の頂が見える。ここからはちょっとした岩場となり、ロープーウェイでやってきた初心登山者にはちょっとした冒険となるだろう。眼下には上高地バスターミナルがおもちゃのように見え、正面には明神岳、前穂高岳、奥穂高岳が険しくも美しくせまる。岳沢から前穂高の登山道が、垂直に落ちる滝のように見えるのがおもしろい。
独標から先に見えるピークはいくつもあって、どれが西穂高なのかわからない。気持を引き締めて、痩せ尾根の岩場を慎重に歩いた。荒々しい岩場とは対照的に、可憐な高山植物が顔を見せる。
一年ぶりの岩場とあって、特に下りが不安。小さなピークは巻き道はなく上り下りを繰り返さなくてはいけないので、体力、精神力ともに必要となる。ピラミッドピークからおぼろげに見える西穂山頂はまだまだ遠い。飛騨側の斜面に、奇妙な岩を見つけた。長方形の岩の上に三角岩が乗っている、まるで笠をかぶったお地蔵さんの様。近づくほどに似てくるので、思わず手を合わせて登山の無事を願う。
小泉氏は山頂を目前にして、少々疲れ気味。ペンキ印をたどるようにしてゆっくりと登りきると、静かな山頂に到着だ。
残念なことに、どんどんと稜線に雲が押し寄せて、奥穂までのピークを望むことが出来ない。ここから先は、北アルプス縦走路の中でも極めて難度の高いルートだ。どんな岩場が待っているのだろうか・・・、西穂高岳山頂に立った私は、少しだけその入口を覗いた気がした。
山荘への帰り道、しだいに視界が良くなってきた。丸山まで続く、いくつもの小ピークが波のように美しく、振り返る見る西穂高岳はどっしりと王様のようだ。お互いに距離をおいて歩くてみると、岩場に張りつく人の姿は、本当にちっぽけな存在である。丸山まで戻ってくると、歩いてきた稜線が姿を見せてくれた。いやいや、結構な標高差、そして悪魔の城のようなけわしい峰々、よく登ったもんだ。やっぱり奥穂高へ行くのはまだ先なのかな・・・とちょっと尻込みした。
タカネウスユキソウ
イワギキョウ
ピラミッドピークと独標の間の小ピーク、人って小さいな 山頂から山荘へ、まるで高波のようなピークの連続を眺める
テント場横のヘリポートで乾杯!
立派な避雷針がちょっと怖い
シーズン前の静かな山の夜を迎える予定だったが、学校登山の生徒さん達が実に賑やかにしてくれた。
かくいう私も、初の登山はやはり学校登山で行った奥穂高岳。山を楽しむというより、皆と一晩一緒に居られることの方が楽しかったな。
テント場の横にあるヘリポートからは西日のあたる霞沢岳の眺めがすばらしい。生ビールで乾杯し軽い夕食をとる。日が落ちると山荘の喫茶ルームに場所を移し、アルコールと山談義にすっかり酔って、満点の星空のもと眠りについた。
翌朝3:30、向かいのテントの音で目が覚める。辺りはまだ霧の中だ。奥穂へ縦走するのだろうか、手際よくテントを片付けて出発の準備をしている。奥穂までの長い縦走を想うと、こちらまで緊張してくる。心の中で、登山の無事を祈りながら出発を見送ると、私はもう一眠り。なんたって、今日は上高地へ下るだけ。
太陽が昇り、テント内が暑くなってきた。テント越しに見る空は青い、外に出てみると、まぶしいほどの快晴。照りつける太陽は熱いが、空気は冷たく気持が良い。ゆっくりとテントを片付けて下山。
上高地では梓川に沿って、”観光客の川”が流れ、河童橋も大賑わい。観光客に混じって、立ちはだかる3000メートルの峰々を見上げながら、あそこにいたんだぞ、というちょっとした優越感に浸ってみる。それぞれの想いを受け止めてくれるこの大自然は果てしなく大きい。
締めくくりは岩魚の塩焼きとビール、心身ともに満腹になってバスに乗り込んだ。 (報告者:A)

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