![]() ![]() |
山行日 | 平成14年7月17日(水)〜18日(木) | ![]() |
天 候 | 17日:終日曇り/18日:朝方晴れ→時々曇り | |
人 数 | 二人 | |
行 程 | 17日:栂池高原(ゴンドラ・リフト)⇒栂池自然園⇒ 白馬大池⇒小蓮華山⇒白馬岳 (テント泊) 18日:白馬岳⇒杓子岳⇒鑓ヶ岳⇒鑓温泉⇒猿倉 |
|
アクセス | 名神小牧IC⇒小牧Jより中央自動車道へ⇒岡谷Jより長野自動車道へ⇒豊科IC 国道147・178号を白馬方面の標識に従い北上。 栂池スキー場・パノラマウェイ乗り場前のPに停車。 ※猿倉⇔八方⇔栂池間はバスの運行あり ※以前は栂池自然園まで車の通行が可能でしたが、 パノラマウェイの開通により通行不可になりました。 ※乗り場前駐車場1日300円 ※パノラマウェイ片道1720円(荷物料あり)約15分 |
|
留意点(気づいたこと) ・本コースは距離、コースともにハードなので、二泊三日の行程をお勧 めします。 ・コースの難所は、鑓温泉上部にある露岩帯。特に雨で水量の多いと きは緊張する場所。 ・夏山でも雪渓が残るため、軽アイゼン、ストックを携帯した方が良い。 |
|
1.台風一過の白馬登山 | |||||||||
本来は大雪渓を経由し、白馬〜五竜岳を縦走する計画であったが、台風7号の接近にともない一日行動日数が減ってしまった。しかも17日は早朝から雷をともなう雨に降られ、天候は晴れに向かうという天気予報を信じて車中で待機。昨晩は天の川まで見られるほどの満天の星空だったのに。 幸いにも9時には雨もあがり、方々の山肌にスキー場跡が見られるようになった。台風の影響を考えると、ただでさえ落石で危険な大雪渓は避けたほうが良さそうだ。少し下山には不便になるが、栂池自然園から登ることにする。 ←前夜のキャンプ(薪ストーブで暖ををとり食事をする) |
|||||||||
2.標高1830mからの出発 | |||||||||
栂池自然園には以前自家用車の通行が可能だったが、栂池パノラマウェイの開通にともない栂池高原からはマイカー通行止めとなっている。ゴンドラとロープーウェイを乗り継いで(片道1720円)栂池自然園に到着。白馬稜線が幻のように白い霧の中にうっすらと姿をあらわし、その圧倒的な高さに身が引き締まる。
自然園の入口とトイレの間に登山道はある。しばらくはタイル状のコンクリートが所々敷かれた人工的な登山道が続き高度を上げる。今朝の雨のせいで道はぬかるみ歩きにくい。だんだんと息もあがり汗が噴出してくると銀嶺水、小さなベンチが置いてあった。ここからはダケカンバなどの白い幹が目立つようになり、ポンッとだだっ広い天狗原に出る。湿地帯には木道が整備され、前方にはべったりと雪渓をつけた緩やかな白馬乗鞍岳が、振り返ると白馬の町並みがキラキラと光っている。湿地帯にぽつりと咲くアヤメに少し感激し(自生するアヤメをみたことがなかった)、鬼押し出しのような溶岩帯を見て、まるで墓場のようだと思った。 |
|||||||||
3.天上の大池 | |||||||||
立派なケルンの立つ乗鞍岳山頂からは、天気が良ければ白馬の稜線がどこまでも見えるに違いない。辺り一帯には高山植物もお目見えし夏山のムードが高まる。丘のような乗鞍岳の向こうからヘリが上昇してどこかへ飛び立っていった。きっと白馬大池のヘリポートがあるのだろう。相変わらずの岩塊帯を下っていくと白馬大池が、想像以上の大きさで目の前に広がった。この白馬大池、北アルプスの山上湖の中では2番目の大きさを誇るそうだが、果たして一番大きい湖はどこにあるのだろう。 標高2400mの大池の辺り一帯は小さな盆地を思わせるような地形になっていて、高山植物が咲き誇り、ハイマツの緑と雪渓のコントラストが美しい。まさに天上のオアシスのようだ。この場所にテントを張り、今日は蓮華温泉まで、明日は雪倉岳でもいこうか…なんていうのも良いかもしれない。 |
|||||||||
4.白馬岳に向けて | |||||||||
なにやら稜線の向こうとこちらで騒がしく叫んでいるパーティーが。何事かと近づくと、どうやら白馬大池に残る組と、白馬山頂まで行く組とバラバラになっているらしい。大池に残るという中年の女性に、「私は戻るからって伝えてください」と伝言を頼まれてしまった。そういえば、先月のヤマケイで<パーティーを組んだ以上は一緒に行動すべし>と書いてあったっけ。まあ、いろいろ事情はあるのだろうけど、ウィンドーショッピングじゃあるまいし、私はこのお店見てるから先行ってて、みたいな感覚はちょっとまずいんじゃ。
そもそも白馬岳に行くといったってまだ先は長い、テントなどの装備を持っている私たちですら、先を急いでいるというのに、あんな小さなリュックしか背負っていない中年の女性パーティーが大丈夫なのだろうか? のんびりと腰をおろしておやつを食べているそのパーティーに追いついた私は伝言とともに、「白馬岳まで行かれるのならあまりのんびりはしていられませんよ」と声を掛けた。 小蓮華山からは北に雪倉岳・朝日岳などの稜線がなだらかに見え、べったりとついた雪渓とのコントラストが美しい。行く先には霧に見え隠れする白馬岳の絶壁がいよいよ迫ってきた。チシマギキョウやイワツメクサの咲くザレ場を勢いよく駆け下りると雪倉岳方面へ向かう分岐の国見堺。初めて見るウルップソウはすでに見頃を過ぎているものもあり、やはり今年は2週間程季節が早いのかもしれない。ガイドブックにはコマクサも見られると謳ってあったが、私が見かけたのは一株の小さなコマクサだけで寂しい限りであった。視界はどんどんと悪くなり風も強い、ヤッケがバタバタと音をたてて、後ろのパートナーの声も途切れ途切れにしか聞こえない程だった。すでに歩いてきた稜線は見えなくなり、例のパーティーの姿も分からなくなる。最後は馬の背という狭い稜線をたどるのだが、視界の悪さでその狭さがわからず、お陰で恐怖心は皆無だった。
霧の中から突如、白馬岳山頂が現れ、思わず「着いた!着いたよ〜!」とパートナーに叫ぶ。達成感というよりは安堵感の方が大きい。本来ならば360度の展望、北には日本海・佐渡島まで見渡せるというのに、目に入るのは疲れたパートナーの顔だけとは…。記念撮影を終えるとテント場に向けて早々に下山し始めた。10分程下ると白馬山荘、スカイプラザと称する広いラウンジがとても感じ良く、晴れていればどこまでも続く山並みを眺めながら食事をすることが出来る。テントを張ったらビールを飲みに来よう、と言ってみたものの、もはやそうする体力を持ち合わせていないことは分かってた。しかしながら、このスカイプラザが「じゃらん」にデートスポットとして掲載されてしまうのはどうかと思うが…。登山者の人口が増えるのは結構なことだと思うが、それよりも、○○山という観光地の観光客が増えているのではないかしら。 霧に包まれたテント場にテントを設営し、ようやくホッと一息つくことが出来る。テントの中で夕食を済ませ、今日一日を振り返りながらまどろむ様に夜を迎えた。 |
|||||||||
5.白馬稜線を歩く | |||||||||
昨日は霧の中だった白馬山頂も今朝はその「非対称山稜」が眩しく目に映る。前方には台形の杓子岳、鑓ガ岳と白馬三山が聳えている。なるほど、ガイドブックにある通り、杓子岳には巻道がついていて山頂を踏まなくともその先に進むことが出来そうだ。 眠っている体をゆっくりと起すように一歩一歩踏みしめるように歩く。白馬稜線はこんなにもはっきりと見えるのに、立山連峰はぼんやりとその存在がようやく確認できる程度だ。足元には色とりどりのお花が咲き乱れ、私には何が何だかさっぱりだが、お花好きな登山者がこの山域を好むのも頷ける。単調になりがちな稜線歩きも、こうした高山植物や動物(今回は会えず)にめぐりあうと気分が大分違ってくる。 |
|||||||||
|
|||||||||
杓子岳山頂と巻道分岐にくると、さっきまで「今回は杓子はおあづけ」なんて言っていたパートナーは山頂方面へと進んでいく。朝一番の体は重いけれど、30分も歩いて汗をかいてくると足が前に出るものである。杓子岳山頂に限らずだけれど、こうも砂礫帯がどこまでも広がっていると、雪崩ならず砂礫崩れが起こるのではないかと心配になる。地震でもこようものなら足元からすくわれてザラザラと流されてしまいそうだ。 杓子岳のコルまで一旦下ると、鑓ガ岳までまた急登が始まる。覚悟していたわりにはすんなり山頂に着くことが出来た。それにしてもこの白馬山域の残雪の多さには驚いてしまう。北向き斜面や谷沿いに残るのは北アルプス南部の山々でもそうであるが、なだらかなカールや南向きの斜面にも白い雪渓が広範囲に渡って広がっている。「新緑と雪渓」というの夏山の風物詩がこの山域の人気の一つであるのかもしれない。 鑓ガ岳からは今まで歩いてきた道のりを全貌することが出来るが、もうすでに下界からもくもくと雲が出来始め、視界をさえぎり始めてしまった。 |
|||||||||
|
|||||||||
6.コース難所 | |||||||||
露岩帯を過ぎてホッと一息ついたのも束の間なのか、「ここから先、転落事故多発」の看板を目にし、気持ちを引き締める。鑓温泉小屋の赤い屋根が視界に入ってくると、大きな雪渓を右手に見ながら小屋に到着だ。 |
|||||||||
7.秘湯鑓温泉を経て | |||||||||
小一時間入浴を楽しみ、全身の赤みがまだ消えうせぬうちに出発することにする。ここからは長い長い水平歩行が続く。途中には鑓沢・杓子沢の雪渓トラバースがあり、気を抜けない。雪渓上につけられた赤ペンキに沿って歩くことが基本だが、ペンキを辿って歩いていた私は、途中尻餅をついた時に真赤なペンキがお尻にベッタリと着いてしまった。これは何度洗っても取れないので、以後は気をつけたいと思っている。
振り返り見る鑓温泉がどんどんと小さくなると、"ようやく"小日向山のコルに辿りつく。コルを超えて白馬沢へ向かって下るとニッコウキスゲの群落が現れ、しばし観賞して楽しむ。山吹色ほど鮮やかではないが、なんとも気品漂うニッコウキスゲは私の大好きな花だ。 歩行時間が長いからか、足の裏に疲れがたまり、つい、すり足歩行となってしまい、結果木の根につまづくことになる。緩やかな登山道だからこそ良いようなものの、やはり肉体の疲れは事故を起すのだろうなー、とボンヤリ考えながら、猿倉までの道を半ば惰性で下ってきた。 猿倉は白馬登山の大きな玄関口といっても良いだろう。マイカー用の駐車場やタクシー・バスの乗入れ駐車場が完備され、こんな遅い時間でも明朝出発の登山客がタクシーで運ばれてくる。 ここにきても驚いたのは、貸アイゼンに貸ストック、また軽アイゼンも大売出しのごとく500円で店先に積まれていた。いくら登山の大先輩が声を大にして「万全な装備、事前の訓練が大事」といったことろで、これでは所謂安全登山が浸透するはずもないであろう。 白馬山域はリフト・ゴンドラ利用によるアプローチの短縮によって、比較的「楽なルート」というイメージが強いのは私だけではないだろう。加えて白馬村が盛んにPRする「白馬トレッキング」や、前述の貸アイゼン・貸ストックなどのサービスなどが、追い討ちをかけるようにそのイメージを強くさせている。けれども実際このコースを登ってみて、果たして「楽なルート」だったであろうか?少なくとも私は初心者をつれて歩けるようなルートではなかったと思う。いくらアプローチの標高差がないといっても、相手は3000m級の立派な高山。軽装備でやってきたハイカーは、栂池自然園に立った時に、仰ぎ見る白馬岳を見て、大丈夫か?とビビるのが普通の感覚というものだ。 まあ、安全登山云々は置いておいても、例えば初のゴルフラウンドをするために、事前にルールを覚えたり、練習場でショットの練習するのが、あたりまえの礼儀のようなものであるのと同じように、山登りにしろトレッキングにしろ、地図で確かめたり装備を整えたりするのが、取り組む者の美しい姿勢であると私は思っている。 (報告者:A) |
ナイフショップ:アウトドアクラブ